11日間、6000km、36県。ほぼ日本一周。

テスラ Model Yで走りきったこの旅で、充電に「困った」のは、たった1回だけだった。

「EVってやっぱり充電が不安で…」——テスラの購入を検討している人と話すと、必ずと言っていいほどこの言葉が出てくる。かく言う僕も、買う前はまったく同じだった。地方に充電器はあるのか、長距離走行時電欠しないか、充電渋滞に巻き込まれ電欠しないか——。

だから、納車されてすぐに自分の体で確かめることにした。北海道を除く、ほぼ日本一周。11日間、走行距離はおよそ6000km。

結論から言う。充電で本当に困ったのは、この6000kmでたった1回だけだった。

この記事では、実際にどこで充電し、どのように走り、唯一ヒヤッとした「あの1回」で何が起きたのかを、写真と充電マップつきで包み隠さず書いていく。読み終えるころには、「EVでも長距離、意外といけるかも」と思ってもらえるはずだ。

宮崎県宮崎市内海

まずは、今回の旅の全体像から

ルート関東を起点に、本州・四国・九州をぐるり時計回り
期間11日間
通過した都道府県36県
総走行距離約6000km
車種テスラ Model Y ロングレンジAWD(航続カタログ値685km/実測520〜560km)
主な充電スーパーチャージャー+FLASH
宿泊ほぼ車中泊(2泊はホテル使用)

関東を出発し、まず静岡方面へ。そこから長野・岐阜・愛知・大阪へ抜け、香川・愛媛に渡る。さらに広島を西へ進んで九州へ入り、福岡・熊本・鹿児島・宮崎・大分とぐるり縦断。帰りは日本海側を北上して鳥取・福井・新潟・宮城を経由し、最終地点、岩手(盛岡)——という時計回りの大回りルートだ。

11日間で36県、約6000km。1日あたり平均550kmとかなり走るペースだが、これでも充電がボトルネックになることはほとんどなかった

↓の地図が、実際に走ったルートだ。これだけのエリアを、EVで走りきった。日本一周ルート

宿泊はほぼ車中泊。後席を倒せばエアマットレスを敷いて横になれるので、ホテル代を浮かせつつ、各地の温泉やご当地グルメを存分に楽しむ旅になった(このあたりは本題から逸れるので、また別記事で詳しく書きたい)。

充電のリアル|6000kmを、どう充電しながら走ったか

ここが、この記事の本題だ。EV検討者が一番知りたい「実際どうやって充電しながら長距離を走るのか」を、包み隠さず書いていく。

・どこで充電したか

充電はほぼ、テスラのスーパーチャージャーを使った。全国の主要ルート沿いに設置されていて、数も配置も安心感がある。加えて最近は「FLASH」という急速充電器も増えてきたので、スーパーチャージャーがない場所でもこれが選択肢になった。この2つがあれば、今回のルートで充電場所に困る場面はほぼなかった。

↓スーパーチャージャーで使用した充電スポットスーパーチャージャー使用した箇所

・1回の充電にどれくらいかかるか

残量20%以下からなら30分で80%まで戻る。残量が多いほど出力が小さくなるため30分以上かかる。

80〜100%はバッテリー保護のため充電速度が落ちるので、100%までやると+30分ほど。長距離では80%前後で切り上げて次へ向かうのが安く効率的

だから毎回フル充電はしない。「次の充電スポットまで届く分だけ入れて、さっと出発」が基本スタイルになる。

↓FLASHを20%から使用した時の画面(プレコンディショニングなし)充電画面

↓スーパーチャージャーを17%から使用した時の画面(プレコンディショニングあり)スーパーチャージャーで80%まで充電している

プレコンディショニングとは、あらかじめバッテリを温めて、充電効率向上とバッテリの保護をする作業

・1回の充電で、いくらかかる?

料金の感覚もお伝えしておく。1回の充電でかかったのは、スーパーチャージャーで約2500円、FLASHで約2200円ほど。80%まで入れてこの金額だ。

ガソリン車で同じ距離を走ることを考えると、この差は大きい。詳しい費用の話は後半でまとめて紹介するが、「1回の充電=約2500円」という感覚だけ、ここで掴んでおいてほしい。

自宅充電ができる人は、これよりさらに安く済む。今回は旅先での急速充電のみでこの金額だった。

↓スーパーチャージャーの料金表スーパーチャージャー料金表

↓スーパーチャージャーで80%まで充電した際の料金内訳(合計金額=2412円)スーパチャージャー使用時の時間

充電と休憩が、自然に重なる

これがEV旅の一番のキモかもしれない。

長距離を走れば、どのみち2〜3時間ごとに休憩は取る。トイレ、食事、ちょっとした休息。その休憩時間が、そのまま充電時間になる。車を充電器につないでご飯を食べていれば、戻るころには十分な残量になっている。「充電のためにわざわざ待つ」というより、「休んでいたら勝手に充電が終わっている」感覚に近い。

正直、「もう充電できたの?」と、むしろ速すぎると感じる場面も多かった。

・ナビが充電計画を立ててくれる

行き先をナビに入れると、バッテリー残量に応じて「どこで何分充電すべきか」をテスラが自動で提案してくれる。だから自分で充電計画を綿密に立てる必要がない。表示に従って走るだけで、電欠の心配なくルートを進められた。この”考えなくていい”安心感は、実際に走ってみて一番ありがたかった部分だ。

慣れてくると残り10%〜20%まで走行した地点の充電スポットを選択して充電効率を重視した運用が可能になる

・航続距離は実測どれくらい?

カタログ値は685km。実測では100%で約520km、80%で約420kmほどだった。カタログより短いのは事実だが、400km以上走れれば、休憩のタイミングと充電のタイミングが自然に噛み合う。日常はもちろん、今回のような長距離でも不足を感じることはなかった。

航続距離は日頃の走り方、冷暖房の強弱により大きく変動します

11日6000kmで、たった1回だけヒヤッとした話

正直に書いておきたい。この旅で充電に困ったのは、11日間でたった1回だけだった。

その1回は、福岡にあるFLASHでのこと。現地に着くと充電器自体は稼働している。ところが、ケーブルを挿してもエラーで充電が始まらない。何度か試しても、うんともすんとも言わなかった。深夜だったこともあり問い合わせしても解決はしなかった。

このときバッテリー残量は約10%。正直、少しヒヤッとした。

ただ、絶望はしなかった。テスラは残量10%でもまだ50kmほどは走れる。そして近くのスーパーチャージャーまでは、わずか10km。頭の中で「これなら余裕で届く」と計算できたので、慌てずにそちらへ向かうことにした。結果、問題なく充電でき、事なきを得た。

↓FLASH充電器からスーパーチャージャーまでのルート充電器間の距離

残量が少なくても、あと何km走れるかを把握しておくと、こういう時に冷静でいられる

この一件で学んだのは、EV旅では「充電器は1つに頼らない」ことごくまれに充電が始まらない個体もある。でも、次の充電スポットを頭に入れておけば、実際にはほとんど問題にならない。裏を返せば、6000km走ってトラブルはこの1回きり。この安心感こそ、僕がEVでの長距離に自信を持てた理由だ。

6000kmの充電代は、いくらだったか

気になる費用の話。今回の旅で充電した回数は、全部で15回。1回あたり約2500円なので、6000kmを走って充電代は合計およそ37,500円だった。

これを、ガソリン車で同じ距離を走った場合と比べてみる。

以前乗っていた日産キューブ(実燃費は約14km/L)で6000kmを走ると、必要なガソリンは約430L。当時のレギュラー価格1L=約172円で計算すると、ガソリン代はおよそ74,000円になる。

テスラ Model Y約37,500円
日産 キューブ約74,000円
燃料費の差約36,500円

同じ6000kmで、約3万6500円の差。しかも今回は旅先での急速充電のみでこの金額だ。

↓利用したスーパーチャージャー一覧(東京以外は今回の旅で立ち寄った個所)スーパーチャージャー使用した箇所

自宅で充電できる人なら、電気代はさらに安くなる。急速充電に頼らない分、この差はもっと開く

もちろん車両価格はEVの方が高い。ただ、こうして走るほどに燃料費の差が効いてくるのは間違いない。長距離を走る人ほど、この差は無視できないはずだ。

これからEVで長距離を走る人へ、4つのアドバイス

6000km走ってみて分かった、EV長距離のコツをまとめておく。これから挑戦する人は、この4つだけ頭に入れておけば大丈夫だ。

1. 充電器は「1つに頼らない」

今回唯一ヒヤッとしたのは、充電器が稼働しているのに充電が始まらなかったこと。ごくまれにこういう個体もある。でも、近くに別の充電スポットがあると分かっていれば慌てずに済む。目的地の充電器を1つに絞らず、「もしダメでも次がある」と頭に入れておくだけで安心感がまるで違う。

2. 残量ギリギリでも「あと何km走れるか」を知っておく

残量10%と聞くと不安になるが、Model Yならまだ50kmほど走れる。この”残り航続距離”の感覚を持っておくと、いざという時に冷静でいられる。数字で把握していれば、少々のトラブルは慌てる話じゃなくなる。

3. 充電は休憩とセットにする

「充電のために待つ」と考えると面倒に感じる。でも、長距離ではどのみち休憩は取る。トイレや食事のタイミングで充電すれば、待ち時間はほぼ気にならない。80%まで30分——ちょうどご飯を食べ終わるころだ。充電を”予定”ではなく”休憩のついで”にするのがコツ。周囲に何も無い充電スポットもある、そこではモニターで動画・映画を見たり、仕事や仮眠を取ることもある。

4. ルート計画はナビに任せる

自分で綿密な充電計画を立てる必要はない。行き先を入れれば、残量に応じてどこで何分充電すべきかをテスラが提案してくれる。最初は半信半疑でも、一度その通りに走ってみると、想像以上に快適で正確だと分かる。あれこれ悩むより、まず任せてみるのがいい。

まとめると、EV長距離は「次善策を持ち、休憩と充電を重ね、ナビを信じる」。これだけで、ほとんどの不安は消える

よくある質問(FAQ)

Q. EVで日本一周のような長距離、本当に充電で困りませんか?

11日間・約6000km・36県を走って、充電で困ったのは1回だけでした。スーパーチャージャーとFLASHがルート沿いに十分あり、ナビが残量に応じて充電場所を提案してくれるので、実際の長距離でも不安を感じる場面はほとんどありません。

Q. 1回の充電にどれくらい時間がかかりますか?

残量20%以下からなら、約30分で80%まで回復します。長距離では80%前後で切り上げて次へ向かうのが効率的です。休憩や食事の時間と重なるので、待たされている感覚はほとんどありません。

Q. 1回の充電料金はいくらですか?

旅先の急速充電で、スーパーチャージャーが1回約2,500円、FLASHが約2,200円ほどでした。今回は6000kmを15回の充電、合計およそ45,000円で走破しました。自宅充電ができればさらに安くなります。

Q. Model Yの満充電時の航続距離はどれくらいですか?

カタログ値は685kmですが、実測ではおよそ520kmでした。カタログより短いものの、400km以上走れれば休憩と充電のタイミングが自然に噛み合い、長距離でも不足は感じませんでした。

Q. 地方や田舎に充電器はありますか?

主要ルート沿いにはスーパーチャージャーがしっかり整備されており、最近はFLASHという急速充電器も増えています。今回のように九州の南端や日本海側を回っても、充電場所に困ることはほぼありませんでした。

Q. 充電が始まらないなどのトラブルはありましたか?

一度だけ、充電器は稼働しているのに充電が開始されないことがありました。ただ残量10%でも約50km走れ、別のスーパーチャージャーまで10kmだったので、慌てず移動して解決しました。次善策を持っておけば、こうしたトラブルも大きな問題にはなりません。

まとめ|EVでの長距離は、思っているより怖くない

テスラ Model Yで、関東から時計回りに36県・約6000km。11日間の日本一周を振り返って、はっきり言えることがある。

EVでの長距離は、思っているより全然怖くない。

充電で本当に困ったのは、6000kmでたった1回。しかもそれも、残量と次の充電スポットを把握していたおかげで、慌てずに切り抜けられた。充電は休憩と自然に重なり、ルートはナビが提案してくれる。費用も、同じ距離をガソリン車で走るより約3万6500円安かった。

買う前の僕は、「EVで長距離は無理なんじゃないか」と本気で心配していた。でも実際に走ってみたら、その不安のほとんどは杞憂だった。むしろ、静かで、速くて、安くて、車中泊まで楽しめる。EVでの旅は、想像していた何倍も快適だった。

もしあなたが今、「充電が不安でEVに踏み切れない」と迷っているなら——この6000kmの記録が、その一歩をそっと後押しできたら嬉しい。

テスラとビーチ

テスラを選んだ理由については別記事で詳しく書いています。あわせてどうぞ。→こちら

※この記事は筆者が実際に走行した2025年時点の体験に基づいています。充電料金・補助金・仕様は変わることがあるので、最新情報は公式サイトでご確認ください。